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潮騒の国−神島紀行(一)

神島

 鳥羽市の最端離島、神島は伊勢湾口に浮かぶ孤島で、三島由紀夫の小説『潮騒』の舞台でもある。島の八代神社には海神を祀りし、島民の守護神と仰がれてきた。正月元旦の「ゲーター祭」は、長い竹で日輪を突き上げる祭として知られる。

神島太鼓打ち鳴らし

 2009年10月24日、鳥羽市観光協会主催で、全国各地から70名の観光者が神島潮騒ロケ地めぐりに参加した。地元の住民たちは太鼓で、「黒潮太鼓」、「海の豊饒」、「颯」などを打ち鳴らし、歓迎の意を表した。

八代神社
八代神社

 神島を舞台に描かれた潮騒の名場面を辿り、八代神社、神島灯台・恋人の聖地…監的哨跡など潮騒ゆかりの地を巡りながら海島に生息する薬草の釣鐘人参や千ぶり、そして渡りの習性ある蝶の仲間−アサギマダラなどとも触れ合いを持った。

薬草の釣鐘人参 千ぶり アサギマダラ
薬草の釣鐘人参 千ぶり アサギマダラ

 昭和28年、三島由紀夫は川端康成宛ての手紙にこんなことを書いた。「目下、神島という一孤島に来ております。映画館もパチンコ屋も呑み屋も、喫茶店も、すべて『よごれた』ものはなにもありません。この僕まで浄化されて…。ここには本当の人間の生活がありそうです」(『三島由紀夫書簡集』)。